Cu roon


もうすぐホワイトデーだ。
俺は授業を全部サボるぐらい一生懸命やっている。
何を…って編み物をだ。バレンタインデーのお返しだからな。

――二月十四日。
生徒会室に書類を置きに行った。
そのとき椿に出会った。
「っ……なんだ藤崎」
何か言いたそうだったが、そんなことより部室にあるケーキが早く食べたくて
「これ書類、書類。お願いなー」
と早口で言い、走って部室へ向かった。
しかし、「おい藤崎!」と怒鳴り散らし腕を掴んできた。
俺はケーキケーキ、と思って
「用か?部室でもいいだろ。」
と言い、手を掴んで…いや握って部室へ走った。
部室へ着くとすぐにケーキを頬張った。
「はひあほうは?(なにか用か)」
「ああ、バレンタインだろ。今日は。」
おお、言葉が通じた…という驚きとバレンタインで、それが…?という疑問が浮かんだ。
「ほうはな。ほへへ?(そうだな。それで?)」
俺はケーキが美味しくて美味しくて堪らなくて椿の顔を見ていなかった。
見とけば良かったな、きっと真っ赤で可愛かったんだったんだろう…と今は思う。
椿は
「これ、特別にあげよう。そのかわり3月は倍返しだからな。」
と何かを置いていきすぐに走ってどこかへ行った。
……それがチョコだったんだ。

お返しはどうしようかーと考えていたら
そういえば椿はマフラーを持っていなかったな。と思った。
で、作ろう…と考え付いたのだが。安易に考えすぎたようだ。

「っ…また間違えた…」
――ちゃんとホワイトデーに渡せるだろうか?

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